2005年03月25日 00:00 〜 00:00
ドナルド・ジョンストン・OECD事務総長

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会見リポート

〝改革〟の加速を注文

今松 英悦 (毎日新聞論説委員)

経済協力開発機構(OECD)の事務総長は、例年5月から6月にかけて開かれる閣僚理事会前に、主要国を訪問することが多い。カナダ出身のジョンストン氏が96年の就任以来、今回で5回目の会見となるのは、そうした事情もある。

ただ、今回は特別の意味を持っている。来年5月の任期切れで、再任を求めないことを各国に通告しており、これが事務総長として最後の来日、会見になると予想されるからだ。事務総長として、旧東欧や韓国、メキシコの加盟を仕切ってきた。中国など途上国との対話にも尽力してきた。

また、この間、OECDは日本に構造改革の推進など、厳しい注文を付けてきた。ジョンストン氏も来日の度に、改革の加速を強調してきた。それも、先進国中で最もパフォーマンスが良くなかった以上、仕方のないことだった。 この日の会見では、その成果ということでもあろうが、「最近になり、ようやく先行き楽観主義が出てきた」と、日本経済の回復にほっとした表情を見せた。とはいえ、デフレから完全に脱却し、健全な経済に戻るためには、「競争政策、規制改革、民営化などの加速が不可欠」と、気を抜くことをいさめた。最近の小泉改革の停滞が気になっているのかもしれない。

会見では次期事務総長問題も話題に。来日に先立って、英紙が「ジョンストン氏がアジア地域の政治家が好ましい」と語ったと伝えた。この日も、日本のOECDへの貢献を評価するとともに、「高い成長をみせているアジアから出るのは良いアイデア。付け加えるならば、女性が望ましい」と、期待を表明した。この期待が現実になることを祈りたい

ゲスト / Guest

  • ドナルド・ジョンストン / Donald Johnston

    OECD事務総長 / Secretary-General, OECD

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