2005年03月25日 00:00 〜 00:00
ミコラ・トメンコ・ウクライナ副首相

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会見リポート

CISに連鎖するオレンジ革命

澤 英武 (個人会員 産経新聞出身)

愛・地球博のため来日したウクライナのトメンコ副首相が、記者会見した。昨年12月のやり直し選挙で、西欧型の民主主義社会を目指すユシチェンコ氏が、プーチン・ロシア大統領の露骨な支援を受けたヤヌコビッチ氏を破ってウクライナ大統領に当選した。不正選挙を糾弾する、いわゆるオレンジ革命を指導したリーダーの一人がトメンコ氏で、今年、副首相に就任したばかり。まだ40歳の若さである。

トメンコ氏は、旧ソ連邦を構成する共和国連合体、CISのリーダーたちが、大統領クラブを作って権力温存を図ってきた、その風穴を開けたのがグルジア、そしてウクライナと続く革命だったと言う。それは単なる政権交代ではない、ソビエト式権力構造はもはや時代に合わず、CIS空間に「新しい理念の革命」は連鎖するだろう、と大胆な予言をしてみせた。 トメンコ氏が日本訪問中、CISのひとつ、キルギス共和国政権が崩壊した。首都ビシュケクで、不正選挙に抗議するデモが政府庁舎になだれ込むや、アカエフ大統領一家はあっさり国外に逃がれた。

トメンコ副首相は、旧ソビエト共和国が将来、民主国家連合体になるかもしれない、と期待している。そして、ウクライナがたんにEU入りを目指すだけでなく、ロシアを含む東のCIS諸国の民主化を助ける役割を担うことも示唆している。ロシア、ベラルーシとの〝スラブ3兄弟の血縁〟は切ることができない、ということだろうか。

フレッシュな指導者という好印象を残すトメンコ副首相にくらべ、いやでも日本の政界の老化現象が目につく。

ゲスト / Guest

  • ミコラ・トメンコ

    ウクライナ副首相

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