会見リポート
2005年02月14日
00:00 〜 00:00
伊藤憲一・日本国際フォーラム理事長/田中明彦・東大教授「東アジア共同体」1
申し込み締め切り
会見リポート
明確なアジア外交戦略を
玉井行人 (西日本新聞論説委員(東京駐在))
だが、どういうルートをたどって山頂を目指すのか。肝心の山頂はかすみ、形さえもよく見えない。
東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓の「東アジア首脳会議」の年内開催が決まった。域内諸国が共栄する「東アジア共同体」実現に向けた一歩といえようが、その枠組みや中身を詰めるのはこれからだ。
ゴールに据えた「共同体」のとらえ方は国によって異なる。経済水準や政治体制が違い、宗教、文化も多様なこの地域が欧州連合(EU)のような共同体になるのは至難だ。
何より中国や米国との関係をどうとるのか、難しい選択を迫られる。
ASEANの間でも米中に対する距離感はさまざまだ。
研究会では共同体づくりについて、伊藤憲一・日本国際フォーラム理事長は「私は推進6分、慎重4分。こんなものに日本が乗ってよいのかとも思う」として、地域の動きを正確に把握した上で対応を見極める必要性を指摘。これに対し、田中明彦・東大教授は「より望ましい枠組みをつくるつもりなら、日本が積極的に発言すべき」と前向きで、2人の姿勢は対照的だった。
2人の発言は東アジア共同体をめぐる意義、可能性、難しさを象徴しているようで興味深い。
「自身の戦略は?」終盤に新聞OB氏が2人に切り込んだ。その矛先はむしろ国の在り方に向けられている。
要は日本としての明確なアジア外交戦略を持って、どう主体的に共同体づくりに関与できるかだ。ここでもまた日本外交が試される。
ゲスト / Guest
-
伊藤憲一 / Kenichi Ito / Akihiko Tanaka
日本国際フォーラム理事長
-
田中明彦
東大教授
研究テーマ:東アジア共同体
研究会回数:1