会見リポート
2005年02月28日
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立山良司・防衛大学教授「中東ベーシック」2
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会見リポート
中東和平への好機
高橋 宗男 (毎日新聞外信部)
中東和平の推進に向けた好機が訪れつつある。そんな期待が高まっている。
第1に、アラファト氏の死去を受け、選挙によって後任に選出されたアッバス・パレスチナ自治政府議長の頑張りが挙げられる。立山氏は「アラファト氏の残した問題の総決算に挑み、真摯に指導力を発揮している」と評価した。
第2に、これまでとは打って変わって「ハト派」の態度を保つシャロン・イスラエル首相の姿勢だ。立山氏は「本当に変わったのか、変わったふりをしているだけか、真相は分からない」としながらも、「安全保障上、得策とみているのだろう」と解説した。
第3に挙げられるのが、2期目に入ったブッシュ米大統領の中東和平への積極姿勢だ。
確かに「これまで何度も期待しながら裏切られ続けてきた」と立山氏が嘆息したように、問題は山積している。パレスチナ、イスラエル、米国などの動向が微妙に変化するだけで、バランスを失ってしまう。いわば「砂上の楼閣」のようなものだ。
しかしそれでも、「イスラエルの60%から70%の人々がパレスチナとの共存を目指すべきだと世論調査に回答し、パレスチナ側にもまた、イスラエルと対立しても仕方がないという議論が出始めている」と、立山氏は指摘した。この10数年間で、一般の人々の意識は確実に変化してきているのである。
自爆テロと報復。そういった暴力の応酬に、我々メディアは眼を奪われがちなのだが、「一見静かに見えるときほど、水面下で重要な動きがある」との立山氏の言葉を、中東情勢の報道に携わる一人として、あらためてかみしめたい。
ゲスト / Guest
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立山良司 / Ryoji Tateyama
防衛大学教授 / Professor, National Defense Academy of Japan
研究テーマ:中東ベーシック
研究会回数:2