2005年01月20日 00:00 〜 00:00
ランドール・ジョーンズ・OECDエコノミスト

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会見リポート

量的緩和の持続が必要

稲田 好美 (時事通信解説委員長)

経済協力開発機構(OECD)が対日経済審査報告書を当クラブで発表するのは初めて。研究機関のエコノミストとして滞日経験もあり、過去5年、対日報告書を担当してきた。

今回の05年版は日本経済の現状を海外需要、企業のリストラ、構造改革を背景に「過去10年でもっともいい状態にある」と評価。

今後も「景気拡大は現在よりも緩やかになり、GDP成長率は1・5%程度に落ち着くが、06年末までは続く」と、やや楽観的な予測だ。

しかし、公的債務の増加、金利上昇、個人消費の停滞、石油価格の上昇、急激な円高など、「持続的成長に向けたリスクが存在する」とし、リスクを回避するために、取り組むべき課題を列挙している。

まず、日本銀行がデフレ対策として続けている量的緩和策は「解除のための基準値を十分に高い水準(例えばインフレ率1%)に引き上げるべきだ」と、具体的な数字を提言。

公的債務問題では「政府は財政赤字を毎年1・5%削減する目標を達成するべきだ」と強調する。

そのためには、GDPの5%とOECD加盟国平均3%を上回っている公共投資の「さらなる削減」の一方、「税収増、特に消費税の税率引き上げが必要となろう」と指摘している。

地方財政についても「三位一体改革」では「強力なイニシアチブを展開する必要がある」との認識だ。

構造改革の目玉とされる郵政民営化については「潜在成長力の強化や財政再建の推進につながる」と評価。

民営化の実を上げるための条件として、郵貯・簡保と民間企業の対等な競争の場を整備それが整備されるまでは郵貯・簡保に新商品を許可しない金融サービス業に関しては政府保有の株式を完全に売却することを目指す─などをあげている。

ゲスト / Guest

  • ランドール・ジョーンズ / Randall Jones

    OECDエコノミスト / Economist, OECD

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