2005年01月26日 00:00 〜 00:00
大野元裕・中東調査会上席研究員「中東ベーシック」1

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会見リポート

選挙後、連立内閣誕生か

安倍 宏行 (フジテレビ経済部長)

「なぜアメリカを支持するんだ。原爆を広島に落とされたのに…」。日本人と見れば、中東では必ずこう質問される。一切武力で中東を蹂躙したことのない国、それが日本である。

その日本に対して好意的なはずの中東で、日本人である香田君が首を切られて殺害されたことは大きなショックであったが、今回の研究会で大野氏は、自衛隊を歓迎しているはずのサマワの人々の間で、オランダ軍撤退後に、かの地を統治すると思われる「イギリス軍は日本が連れてくるのか!」と怒りの声が出ていると言う。

早々に自衛隊派遣延長を決めた小泉政権であるが、今後どこまでブッシュ政権につきあっていくのか。世界の中でアメリカと共に孤立する可能性はないのか?国民議会選挙が行われた後のイラクの国内情勢が決して楽観できるものではない、との氏の指摘に、不安がつのったのは私だけではあるまい。

氏は、「(アメリカによる)力の統治はうまくいっていない」ことを、「テロ・戦闘による死者数表」で明確に証明する。いたちごっこのごとく、大規模なテロリスト掃討作戦を行っても、直後に、必ず報復によるアメリカ兵の死者が増えている事実が、それを物語っている。

氏によると、今回の暫定国民議会選挙の結果、連立内閣が誕生する可能性が高いとのことだが、フセイン政権下で敵対してきたスンニ派、シーア派が果たして共存できるのかは不透明だ。

自衛隊派遣の存在意義が、ただサマワに駐留することだけだとしたら、イラクの人々は今後も日本に好意を抱き続けるだろうか。イラク人による国づくりのためにわが国は一体、何をなすべきか、それが今私たちに突きつけられている問題であろう。

ゲスト / Guest

  • 大野元裕 / Motohiro Ono

    中東調査会上席研究員 / Senior Research Fellow, Middle East Institute of Japan

研究テーマ:中東ベーシック

研究会回数:1

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