2005年01月19日 00:00 〜 00:00
木山啓子・JEN事務局長

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会見リポート

支援に欠かせない長期的な報道

稲葉 光秋 (読売新聞社会部)

未曽有の大惨事となったスマトラ沖地震・インド洋大津波。被災地では、多くのNGO(民間活動団体)の日本人メンバーが援助活動に汗を流してきた。この日の報告者、木山さんもその1人だ。

津波発生後の12月末にスリランカ入りし、約9日間、北部のムラティブやキリノッチで生活必需品の配布などにあたったという。

スクリーンで現地写真を何枚か見せてくれた。かつて漁師の家が並んでいた海岸は、家の柱が所々に立つだけの単なる砂浜と化していた。海岸線に垂直な壁一枚だけが残り、あとの部分はすっかり流されてしまった大きな教会。屋根のすぐ下まで水が上がっていた跡が残る民家。この家の前の水たまりには遺体が残っていることがわかっていながら、収容できずにいたという。

「死臭と腐敗臭、消毒液のにおいが混じり合い、大勢が死んだことを物語っていた」と語る木山さんは、「車で7時間走る間、延々と被害の跡が続いていた経験は、初めて」と被災規模の大きさに驚く。

避難所で暮らす被災者たちは、「ここを出たら行くところがない」などと悲しそうな瞳で淡々と語るばかりだという。避難所のあまりの静かさに、木山さんは「トラウマの大きさを見る思い。心のケアの大切さを実感した」と語った。

木山さんは、緊急支援の次に必要なケアとして「仮設住宅で、当座の生活支援と心のケア」「今後の住まいとなる場所で、生活再建支援と心のケア」──というように、ステップを進めるべきだとしている。

最後に、われわれに対し「この津波を決して忘れないでください。報道が下火になると、支援の機運も弱まるのです」と訴えた。口調には長期の支援に臨む決意があふれていた。


ゲスト / Guest

  • 木山啓子 / Keiko Kiyama

    JEN事務局長 / Secretary-General, JEN

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