2005年01月21日 00:00 〜 00:00
森本薫子・日本国際ボランティアセンター・タイ現地調整員

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会見リポート

地元NGOネットを軸に

大澤深雪 (NHK報道局社会部)

死者、行方不明者15万人ともいわれる「スマトラ島沖巨大地震・津波」の発生からおよそ1カ月、タイ南部で救援活動にあたったJVC森本薫子さんから緊急報告が行われた。タイに駐在して4年になる森本さんでさえ、地震発生5日後の現地で家も船もすべて押し流された風景を見ただけでは「元の風景を知らないだけに、被害の重大さがピンとこなかった」という。

森本さんの活動の強みは、「タイ津波救援NGOネット」と名づけられた現地のおよそ30団体とのネットワーク。漁業で生計を立てる住民一人一人と話しながら、何が必要かきめ細かく聞き取り調査を行った。こうした地道な調査こそ、復興計画を立てる上で欠かせないと重要性を強調。

その中で、森本さんは「誰だって人の手を借りないで自立したいはず。時間はかかると思うが、長期的にできることをしていきたい」と感じ始めたという。

調査を経て、タイ南部で復興に必要なものは600隻の漁船、2000世帯分の網などの道具、海の生態系を取り戻すために稚魚の放流、といった具体的な復興計画が導き出された。地元に根付いたNGOの協力があったからこそ、きめ細かく確実なものに仕上がったと、紹介した。緊急的に必要な支援が終わった後、息の長い支援を続けていくためには欠かせないものだろう。

また団体同士が常に連絡を取り合い、緊急事態に素早く動けるタイのNGOの活動方法は、今後日本でも取り入れられるモデルにもなる可能性を示してくれたと感じた。

「地元の人に恩返ししたい」と、森本さんは2月、再びタイに戻って活動を続けると笑顔を見せてくれた。

ゲスト / Guest

  • 森本薫子 / Kaoruko Morimoto

    日本国際ボランティアセンター・タイ現地調整員 / Local Adjustments Employee of Japan International Volunteer Center, Thailand

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