2004年12月03日 00:00 〜 00:00
石弘光・政府税制調査会会長

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会見リポート

消費税は税制改革のコア

藤井 彰夫 (日本経済新聞論説委員)

政府税調会長として取り組んだ新年度税制改正答申を1週間前に小泉首相に提出したばかり。できたての税調答申をベースに新年度にとどまらず、今後数年間の税制改革の課題について熱弁をふるった。定率減税の廃止問題、消費税率引き上げ、三位一体改革と税源移譲、環境税の是非……。「これまでの税制改革は増減税一体の税収中立だったが、これからは税負担増は避けられない」「将来の税制改革の種はまいた」という今回の答申への自負が伝わってきた。

焦点の定率減税の見直しでは「(縮小を始める予定の)13カ月も先の景気情勢はわからない」と足元の景気情勢と絡めた今の議論に疑問を投げかけ、「こういう減税をやった時の人はけしからん」と当時の政策当局者をバッサリ。

小泉首相が在任中は上げないとしている消費税率についても「どなたが次の首相でも税制改革のコア。次の焦点は5%を10%と最初から2ケタにするのか、7─8%にするのか」と具体案に踏み込んだ。

「政府税調は税制改革の企画・プラン・デザインをして、(具体的な実施の)時期や税率などは政治の責任として自民党税調にバトンタッチする」。石会長はこの分業体制は「有効に機能している」と言うが、今後の大きな改革をする場合に今の方式がうまく機能するのかどうかは議論の余地があるのではないか。

「心自閑」──。講演後の恒例の揮ごうは、李白の「山中問答」の一節。6年間つとめた一橋大学の学長を11月末で退任、この昼食会は「晴れて自由の身になって初仕事」。今はまさに「心おのずから閑なり」ということだが、税調会長としての仕事はこれからが正念場だ。

ゲスト / Guest

  • 石弘光 / Hiromitsu Ishi

    政府税制調査会会長 / Chair, Tax Commission

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