2004年12月08日 00:00 〜 00:00
松井道夫・松井証券社長

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会見リポート

証券業界の風雲児

山本 正実 (読売新聞経済部)

「おやんなさいよ、でもつまんないよ」

1918年(大正7年)創業の松井証券の2代目社長だった岳父、松井武氏が87年、経営を継ごうと決意を固めた松井道夫氏に、そう告げたという。

「つまらないなら、面白くしてやろう」

囲む会では、そこからの奮闘ぶりが回想された。それまでの松井証券は、監督官庁の顔色を伺い、業界の秩序を守りながら細々と生きてきた。

しかし、松井氏が90年に常務に就くと、外交営業の廃止など業界の常識を覆す経営改革を推進。95年の社長就任後は、業界横並びだった各種手数料の引き下げなどに取り組み、中でも、いち早くインターネット専業証券に衣替えし、業界を驚かせた。

こうした改革が実を結んだのは業績の数字に現れている。「こんなの誰も予想していなかった」と本人も驚いているが、87年当時に約1000億円に満たなかった同社の売買金額は今や13兆円に達した。2004年3月期の経常利益は、野村、大和、日興の大手3社に次ぐ業界4位となり、店頭での対面取引が中心の大手は戦略の見直しを迫られている。

その原動力は、99年の株式手数料の完全自由化を背景に、手数料の安さや手軽さからインターネット取引を活用している個人投資家の飛躍的な伸びにある。

松井氏は、今後、個人の証券投資は一段と拡大すると見通している。「団塊の世代がネット取引を使い、激しい勢いで証券市場に参入している」からだ。

自信に満ちた口調で、時に会場を挑発しながら、話を結んだ。常に既成概念を打ち破り、挑戦する姿勢はなお続きそうだ。

ゲスト / Guest

  • 松井道夫 / Michio Matsui

    松井証券社長 / President, Matsui Securities

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