2004年11月05日 00:00 〜 00:00
漆間巌・警察庁長官

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会見リポート

テロ対策〝抜け穴〟に危機感

金沢 稔 (時事通信社会部)

2001年の米同時多発テロ以降、各国はテロ防止のための法整備を相次いで進めている。指紋など生体識別(バイオメトリックス)情報を組み込んだ旅券の導入や、ホテルに対する宿泊者データの報告義務付け─などだ。

漆間長官はこの日の会見で、こうした制度の日本での導入に理解を求めた。人権やプライバシーの問題も伴うが、「国際的に同じレベルでないと、テロ対策は進まない」。〝抜け穴〟とも言える日本の現状に、警察トップとして危機感を表した。

テロリストの入国に関しては、日本は大きな汚点を残している。アルカイダ系のリオネル・デュモン容疑者が99年9月から03年9月の間、潜伏していた事件だ。同容疑者は出国後にドイツで逮捕されたが、漆間長官は「偽造旅券を使っていたため、国際手配されていながら入国させてしまった。指紋を認証するシステムがあれば防げた」と力を込めた。

また、イラクで武装勢力に拘束された香田証生さんは結果的に殺害されてしまったが、「ヨルダンに外国人の宿泊者情報を管理するシステムがあったから、足取りが早い段階で分かった」とした。

警察庁は今年8月、「テロ対策推進要綱」を策定。システム、法整備のほか、警戒警備の徹底、専門部隊の拡充などを打ち出している。

武器を持った警察官が航空機に搭乗する「エアマーシャル」制度もこのうちの一つで、国土交通省などと連携し具体的な検討が進んでいる。

導入の時期、装備については公表されていないが、会見では「警察官が発砲しても、弾は犯人の体内にとどまる。もし、機体に当たっても、飛行に影響はない」と、装備に関する〝トップシークレット(?) 〟も披露された。

ゲスト / Guest

  • 漆間巌 / Iwao Uruma

    日本 / Japan

    警察庁長官 / Commissioner General

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