2004年11月15日 00:00 〜 00:00
クロード・マンディル・IEA事務局長

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会見リポート

省エネ対策、日本に期待

加藤 靖志 (共同通信経済部)

原油価格の高騰が世界経済の安定成長に向けた大きなリスクとなる中、「日本は世界のエネルギー市場における重要なプレーヤー」と指摘し、省エネ対策や石油など化石燃料からの転換で日本が国際的に積極的な役割を果たすよう強い期待を表明した。

会見に同席したIEAチーフエコノミストのビロル氏によれば、現状のままでは世界のエネルギー需要は2030年までに60%増加。中でも化石燃料はその85%を占めるという。米先物市場では原油価格が一時1バレル=50ドルを超えるなど、エネルギー問題が今後、世界経済にとって一段と大きな脅威になるのは間違いない。

しかし、マンディル氏が言うように「特効薬はない」のも事実である。原発の安全性に対する懸念は世界各地で一段と強まり、化石燃料に替わる新たなエネルギーの開発の歩みも遅い。各国政府に努力を訴えるIEAの呼び掛けがむなしく聞こえるのも、問題の大きさと複雑さの表れと言える。

特に東アジアでは、急速な経済成長が続く中国のエネルギー需要増大で、日中間の競合が一段と激化している。東シベリアからの原油パイプライン建設問題で劣勢に立たされた中国は、1970年代から経済協力の象徴として日本に販売してきた大慶原油の輸出を事実上中止。東シナ海の天然ガス開発をめぐっても両国間の対立が続いている。

原油の中東依存を減らすためにも「日本、韓国、中国の協力は必至の道筋」とマンディル氏は各国協調の必要性を強調したが、日本政府はどう受け止めるのか。域内の協調でリーダーシップを発揮しようという気構えは残念ながらうかがえない。

ゲスト / Guest

  • クロード・マンディル / Claude Mandil

    IEA / IEA

    事務局長 / Secretary-General

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