2004年10月13日 00:00 〜 00:00
J.ダイス・スイス大統領

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会見リポート

EU加盟には慎重な姿勢

原口和久 (産経新聞経済部)

江戸末期の1864年に幕府とスイスが修好通商条約を締結してから140周年の節目の年に訪日した。会見では、さらに歴史をさかのぼり、「今から200年前の1804年、ロシアの船に乗ってスイスの芸術家が日本を訪れた」と述べ、両国関係の長さを強調した。

直近の両国関係に関しては、7月末に枠組み合意に達した世界貿易機関(WTO)のドーハ・ラウンドに言及。日本とスイスなど食料純輸入国・地域でつくる「G10」として結束、「輸入国の立場を改善することができた。WTO交渉を通じ、日本と緊密な関係を打ち立てた」と振り返った。

また、会見前日に行われた小泉純一郎首相との会談については、①投資の促進②貿易の拡大③科学技術分野での協力④二重課税回避の強化―などで一致したことを紹介した。このうち貿易面では、日本との自由貿易協定(FTA)締結に向けて「機は熟している。準備会合を始めるべきだ」と、強い意欲を示した。

「日本はアジア地域において最も重要なパートナー」という大統領の言葉どおり、日本との協力強化に重点を置いたスピーチとなった。

一方、質疑応答では、EUとの関係についての質問が相次いだ。永世中立国であるスイスが2002年に国民投票を実施して国連に加盟したときの外相でもあり、EU加盟の見通しに関心が集中したようだ。

これに対して「国連加盟によっても中立国としての独自性を失うことはなかったが、国連とEUとでは性格が全く異なる」と答え、EU加盟に関してはあくまでも慎重な姿勢を崩さなかった。

ゲスト / Guest

  • J.ダイス / Joseph Deiss

    スイス / Swiss

    大統領 / President

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