2004年10月08日 00:00 〜 00:00
守屋武昌・防衛事務次官

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会見リポート

転換期を迎える防衛政策

石原進 (毎日新聞論説委員)

記者クラブ側が敬遠したのか、それとも防衛庁側が逃げ回ったのかどうかわからないが、防衛事務次官の日本記者クラブでの会見は、実に28年ぶりだという。

しかし、守屋次官にとっては防衛審議官時代に続いて2度目の会見である。メッセージを国民に発することの重要性を認識した数少ない防衛官僚だ。

防衛政策はいま、大きな転換期を迎えている。テロや大量破壊兵器の拡散が新たな脅威となり、政府は自衛隊をイラクに派遣し、弾道ミサイル防衛システムの導入を決めた。

防衛力整備の指針となる防衛計画の大綱の見直しや、新たな中期防衛力整備計画の策定を目前に控えている。米軍のトランスフォーメーション(変革・再編)に伴う在日米軍の再編問題も重要課題に浮上した。

そうした時期だけに、話が誤解、曲解されないようにとの配慮からか、40ページ余りの資料を配布しての会見だった。その中で守屋次官は、伝統的な脅威は大幅に減少したものの、北朝鮮から発射すれば、10分で日本に届く弾道ミサイルに対しては有効な手立てがないことを説明し、多種多様な不安定要因にさらされているシーレーンや日本領海の安全確保の重要性を指摘した。

在日米軍の再編については「我々が地域の平和と安定を守るために、また国民の負担を軽減するという観点から議論していく」と述べた。要は、自らの安全のため日本が主体的に取り組む問題だという。

在日米軍の再編は、日米間の政治問題に発展した。「個々の議論にコメントできる段階になっていない」。その口の重さから日米の折衝が微妙な段階に差し掛かっていることをうかがわせた。

ゲスト / Guest

  • 守屋武昌 / Takemasa Moriya

    日本 / Japan

    防衛事務次官 / Administrative Vice-Minister of Defense

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