2004年10月14日 00:00 〜 00:00
A.ロシュコフ・駐日ロシア大使

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会見リポート

プーチン政権への批判に反論

山内聡彦 (NHK解説主幹)

今年3月、第2期プーチン政権発足とともに、駐日大使として赴任したロシュコフ氏。この4年間、アジア担当の外務次官として日本との領土問題に取り組み、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議ではロシア代表を務めた。昨年1月には北朝鮮が核拡散防止条約から脱退を宣言した直後に、プーチン大統領の親書を携えて北朝鮮を訪問、金正日総書記と6時間にわたり会談したロシア有数のベテラン外交官である。

来年初めのプーチン大統領の訪日の準備が当面の最大の課題だが、昼食会で強調したのは日ロ関係ではなかった。1時間にわたる冒頭発言のうち実に40分近くを、一連のテロを受けてプーチン大統領が打ち出した政策に対する西側の批判への反論にあてた。中央集権化の強化で民主主義が大幅に後退したとする批判は「表面的で根拠がない」と指摘。「秩序と安全を確保するため、現行制度を構造的に修正する新たな措置が必要だった」と強調し、西側の批判への強いいら立ちを示した。

北方領土問題については、両国が互いに歩み寄り、関係のレベルを高める中で、解決方法を見いだすべきだとして、日本側に歩み寄りを求めた。また、「大統領が権威主義を強めないように望みながら、権威主義的な決断を求めるのは矛盾だ」とも指摘した。さらに、「ロシアと日本では第二次世界大戦の結果に対する解釈が異なる。ロシアでは日本はナチスドイツの同盟国であり、日本に対して罪を犯したという意識はない」と述べ、プーチン大統領が領土返還に反対する世論を無視した形で政治決断を下すのは難しいとの考えを示した。

赴任から半年余り。大使が強調していた「領土問題解決のための新しいアプローチ」はまだ見えていない。

ゲスト / Guest

  • A.ロシュコフ / Alexander prokhorovich LOSYUKOV

    ロシア / Russia

    駐日ロシア大使 / Ambassador to Japan

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