2004年09月17日 00:00 〜 00:00
岡本行夫・元首相補佐官「著者と語る」

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会見リポート

プロアクト型外交

鬼頭 誠 (読売新聞調査研究本部主任研究員)

新著『砂漠の戦争』(文藝春秋)は、昨年11月イラクで凶弾に倒れた奥克彦氏と、奥氏とともに現地で行動することの多かった岡本さんが見て考え行動した対イラク外交の軌跡。「いまだに奥の死を乗り越えられない」と冒頭で告白した岡本さんの話は、奥氏の冥界からのメッセージにも聞こえた。以下、その抜粋。

*人間にはリアクト型とプロアクト型があるが、日本外交はプロアクト性に欠ける。

*イラクの治安は現在一時的に悪化し、日本の外交官は危険にさらされている。鈴木敏郎駐イラク大使は当面駐在の名目を大事にし、動かないでもらいたい。再び犠牲が出れば対イラク外交は手痛い後退を余儀なくされる。

*サマーワの自衛隊も同じ。任務の人道・復興支援業務にはキリがない。どこかで区切りをつけるべきで撤退戦略を考える時期に来ている。

*円借款による大規模復興支援は治安が安定するまで待つべきだ。

*石油埋蔵量世界一ともされるイラクや隣のサウジアラビアをテロリストに奪われてはならない。

*われわれはテロと隣り合わせで生きていかざるをえない。人質事件の再発、苦渋の決断を迫られる恐れは減っていない。

*イスラム教徒にとり生と死の境は低い。9・11犯人はジハード(聖戦)を叫び、輝く天国を夢見て死んだ。彼らに「死の無益」を説いても聞く耳を持たない。7世紀ユートピア以降は悪と見て破壊するアルカーイダには力で臨むしかない。

*自殺テロ予備軍を出すパレスチナの和平がイスラム圏での事態改善の鍵だ。日本は、中東和平でも、自ら世界を変えようというプロ・アクト型の外交アプローチをとるべきだ。

ゲスト / Guest

  • 岡本行夫 / Yukio Okamoto

    元首相補佐官 / Former Special Advisor to the Prime Minister

研究テーマ:著者と語る

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