2004年09月08日 00:00 〜 00:00
ムスタファ・イスマイール・スーダン外相

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会見リポート

ジェノサイドではない

橋本一彦 (共同通信外信部)

スーダン西部のダルフール地方の紛争に国際的な注目が集まる中、イスマイル外相が初めて来日、同地方や南部の内戦の現状のほか、貿易と投資の対象としてのスーダンの魅力などを語った。

南部の内戦については、反政府勢力との2002年10月の停戦協定締結後、戦闘がないことを強調。年末には最終的な和平協定を締結できるとの見通しを示した上で、その後、復興、開発の道をたどると強調した。

「世界最悪の人道危機」とも指摘されるダルフール紛争については、政府側が積極的に関与したわけではないと説明。「アラブ系民族とアフリカ系民族の対立との見方は間違っている」と述べた。現在は、避難民らは飢餓や医薬品不足など最悪の状況を脱しつつあり、治安を回復する段階に移行しているという。

また、スーダンには石油資源が豊富で、すでにインドや中国、韓国、フランス、カナダなどからの投資があるとして、日本からの投資だけでなく、政府開発援助の再開も強く要請した。

質疑応答では、ダルフール紛争について質問が集中。外相は、ジェノサイド(民族大量虐殺)ではなく、死者は5千人を超えないとの認識を示した。

住民への襲撃を繰り返しているとされる民兵の武装解除は、反政府勢力と並行して行うとしており、難航する和平交渉などを考えると、ダルフール地方の安定は遠いとの印象を持った。スーダン政府が否応なしにではあったかもしれないが人道危機といわれる状況をもたらした、との疑念は消えない。だが、その後の米政府のジェノサイド認定に対しても、認定への根拠に疑問を持たざるを得ず、「ジェノサイド」とは何かも、考えさせられた。

ゲスト / Guest

  • ムスタファ・イスマイール / Mustafa Osman ISMAIL

    スーダン共和国 / The Republic of the Sudan

    スーダン外相 / Foreign Minister

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