2004年08月26日 00:00 〜 00:00
トム・ワスコー・在日米軍司令官

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会見リポート

ヘリ事故に質疑が集中

岸本 卓也 (毎日新聞編集委員)

在日米軍司令官が日本記者クラブで会見するのは数年ぶり。冒頭に「(在日米軍司令官を招待する)次回はもう少し早く呼んでいただけるように(今日の会見は)頑張る」とあいさつしたが、表情は固かった。この日の昼食会は8月13日に沖縄で起きた米軍ヘリ墜落事故の前から予定に入っていた。さぞや司令官にとってヘリ事故は残念だっただろう。

「安全保障をめぐる日米関係」と題したスピーチではヘリ事故への謝罪や事故原因の詳しい説明はなかった。「日米安保同盟は太平洋アジア地域における安全構造の要だ」と強調し、イラク戦争に賛成した小泉純一郎首相を「米国指導者に日本が信頼できる国であるということを証明した」と賞賛した。国際テロや北朝鮮の核武装の脅威に対する日米協力の必要性も力説した。ただし、話の途中で「米軍の訓練のリスク」に触れ、「不幸な事故が起きた場合に米軍は調査の手順を確立している」と述べた。この言及だけではヘリ墜落事故の米軍の対応への日本側の不満を解消できないことは司令官も覚悟していたようだ。案の定、質疑応答はヘリ事故の問題に終始した。

米軍への批判は沖縄県警の現場検証を拒み、事故原因の解明を待たずに同型ヘリの飛行を再開したことだ。司令官は「ヘリ搭乗員は人的被害を避けたし、米軍は県警の立場に配慮した」と主張した。また、飛行再開の背景に同型ヘリのイラクへの派遣命令が出たことを紹介し、「飛行の安全は確保している」と理解を求めた。米軍ヘリが使用している普天間基地の嘉手納基地への統合についても「選択肢の一つ」と認めた。

司令官としては誠意を込めた回答をしたつもりだろうが、退席の際の拍手の音の弱さが会場の雰囲気を象徴していた。

ゲスト / Guest

  • トム・ワスコー / Tom Waskow

    アメリカ / USA

    在日米軍司令官 / Commander,United States Forces Japan

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