2004年08月27日 00:00 〜 00:00
生田正治・日本郵政公社総裁

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会見リポート

柳のような生田ペース

貝田 尚重 (時事通信経済部)

会見が行われた日の前日、ヤマト運輸が新聞各紙の全面広告で日本郵政公社との全面対決を宣言した。コンビニエンスストアチェーン第2位のローソンがヤマト運輸との契約を打ち切り、郵政公社との提携に踏み切ったことを不服として「官業の特典を持つ公社が、民間が築いた市場で競争するのはフェアではない」と批判したのだ。

これに対して、生田正治総裁は「新聞を見て、大変、当惑している。宅配便市場での公社の市場シェアはたった6%で、本来なら市場撤退を検討すべき水準。他の宅配便と並べて置かせてくださいとお願いしているだけで、とてもとても民業圧迫には及ばない」と、あくまでも挑戦者の立場を強調した。
経済財政諮問会議を中心に郵政民営化の議論が進んでいるが、民間企業は、2007年4月の巨大民間企業の誕生以上に、官業の特典を持つ公社が民営化前に事業拡大をすることを恐れる。生田総裁は、柳のようにしなやかな物腰で〝公社=弱者〟の立場を訴えるのだが、その裏で、着々と経営改革に断行し、長年の赤字だった郵便事業をたった1年で黒字転換させ、民間企業との提携、新サービスの投入を猛スピードで進めているのだ。

会見の最後も、公社の郵便事業が債務超過でスタートしているとして「持参金もなしに嫁に出された挙げ句、すぐに親に仕送りせよとは、難しい相談ですよ」と、会場の雰囲気を引き付けて、締めくくった。

しかし、圧倒的な独占分野と優遇措置を受けてきた郵政事業は、なぜ債務超過に陥ったのだろうか。民営化の過程で、無駄や非効率は確実に見直されるのだろうか。生田ペースに巻き込まれず、きちんと検証していかなければならない。

ゲスト / Guest

  • 生田正治 / Masaharu Ikuta

    日本 / Japan

    日本郵政公社総裁 / Japan Post

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