2004年08月18日 00:00 〜 00:00
松尾邦弘・検事総長

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会見リポート

ひるむことのない検察

大野 公二 (テレビ朝日社会部)

話題は彼が検事総長就任時に最高検職員を前に話した内容の紹介から始まった。

その中で彼は情報公開の必要性を訴えた。

従前の検察は偽証、証拠隠滅、虚偽報告などの犯罪について自らが届け出た場合、処分を起訴猶予にするケースがほとんどだった。しかし、これからは情報を偽る犯罪にはより厳しく対応するという。

これについては彼自身が東京高検検事長時代に指揮した一連の三菱自動車の欠陥隠し事件で、三菱ふそう前会長ら幹部を虚偽報告などで逮捕起訴したことで実証した。

法曹界の懸案である司法制度改革については「国民が統治の対象から統治の主体になることを期待している」と述べ、そのために裁判員制度では国民の参加が意義深いものになるような舞台を法曹三者の専門官が整える必要性を強調した。

その中でも「検察は従来までの裁判長を説得しようとした刑事司法を根底から変えなくてはいけない」と自らの〝変革〟をアピールした。

質疑応答では、日本歯科医師連盟から旧橋本派への1億円献金問題への対応を聞かれ、個別の案件には答えられないと前置きしながらも「すべて証拠による。しっかりと証拠を集めた上で、その後に判断する」と答えた。

検察の宿命とも言える政治権力に対する姿勢について問われると「どういう地位であろうと差は設けない。事件があり、人が必要ならば投入する。適正に淡々と処理する」と語気を強め、「ひるむことのない検察でありたい」と締めくくった。

温和な表情で話す姿に、秘められた刑事司法に対する熱い情熱を感じた会見だった。

ゲスト / Guest

  • 松尾邦弘 / Kunihiro Matsuo

    日本 / Japan

    検事総長 / Prosecutor-General, Supreme Public Prosecutors Office

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