2004年07月14日 00:00 〜 00:00
イスラエル・パレスチナ和平信頼醸成会議

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会見リポート

信頼醸成の難しさ

木村 一浩 (共同通信外信部)

「ロードマップ(新和平案)に基づく和平合意は実現可能」。昨年に続き日本政府が主催したイスラエル・パレスチナ和平信頼醸成会議の、総括文書の一節だ。素直に読めば箱根での三日間の討議の結果、パレスチナ情勢に一筋の光が差したようにも受け取れる。だが双方の代表が臨んだ記者会見からは、可能なはずの和平に向けた具体的道筋は見いだせなかった。

「1967年の境界線に基づく二国間解決は可能か」。会場からの質問に、イスラエルのメリドール元蔵相はユーモアで応じた。「パレスチナのアリカット交渉相は最近30キロの減量に成功したそうだ。パレスチナ側の要求が、そのくらい減れば和平も‥」。

微笑みを崩さずに「67年境界線は譲れない」と応酬したアリカット氏だが、話題がヨルダン川西岸の分離フェンスに及ぶと顔が紅潮し「国際法違反のフェンスが完成すれば双方の共存など不可能になる」と強い口調に。メリドール氏も「国民をテロから守るための措置」と声高に訴え、対立の構図にまったく変化がないことが鮮明になった。

イスラエルのシャロン政権が、和平交渉を経ない一方的なパレスチナ政策を進める今、昨年六月に合意されたロードマップは形骸化が顕著。「信頼醸成」の困難さが深まる中で、日本政府は来年も会議を主催する。

会見出席者:メリドール・元イスラエル財務相、アリカット・パレスチナ交渉相、橋本光平・日本代表(日本大学教授)

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