2004年07月30日 00:00 〜 00:00
御手洗冨士夫・キヤノン社長

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会見リポート

収益で世界の100社へ

大村 芳徳 (日本経済新聞産業部編集委員)

なぜ、キヤノンが元気なのか。この人の話を聞くと誰もが納得し、なんとなく力が湧いてくる。「世界に冠たる会社を作る」「世界のトップ100社に入りた い」「売上高5兆円を目指す」など大言壮語とも思えるような『夢』が次から次へと飛び出す。しかし、95年に社長に就任してからの実績をみると、「御手洗 さんならやるだろう」と思わせる経営者である。

キヤノンに入社して5年目の66年に米国に赴任した。以後約23年間駐在し、ビジネスの 『常識』を身につけた。なのに、「日本では日本型企業統治が機能する」「会社のことを知らない社外取締役はキヤノンにはいらない」と米国型企業統治を切り 捨てる。社長になって最初の五年間は「利益優先」「財務体質改善」を掲げ、年間売上高734億円に相当する不採算事業から撤退した。財務体質の改善にメド をつけた2001年からは「カネはある。欧米でM&Aの対象を探せ」と指示し、永続的成長に不可欠と判断した大型の設備投資にも矢継ぎ早に踏み切った。

「攻撃する時は120%の備えをしてからでないと攻撃しない。守りができるまでは我慢する」と語った経営手法は、大分県蒲江町でガキ大将として過ごした少年時代の「戦争ごっこ」で身につけた。

御手洗氏は「米国の超優良企業の社員とうちの社員を比べると品格が違う」と分析した。世間ではキヤノンを優良企業ともてはやしているが、期待もあいまって評価のハードルは高まりつつある。御手洗氏が語った『夢』の実現には、自身が分析した『欠点』克服が欠かせない。

ゲスト / Guest

  • 御手洗冨士夫 / Fujio Mitarai

    日本 / Japan

    キヤノン社長 / Canon Inc.

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