2004年06月11日 00:00 〜 00:00
大沢真理・東京大学教授「年金改革」4

会見メモ

使用した資料です。
詳録資料①PDF
詳録資料②PDF


会見リポート

日本版スウェーデン方式

石崎 浩 (読売新聞社会保障部)

年金改革関連法の成立から6日後という時期に開かれた、今回の研究会。社会保障審議会年金部会の委員として改革案の検討に携わった大沢教授は、モデル年金の給付水準を将来も現役世代の収入の50%以上で維持するという同法について、「真っ赤なうそとまでは言わないが、ショッキングピンクぐらいのうそ。空約束に近い」と、ばっさり切り捨てた。

現行制度は職業によって国民年金、厚生年金、共済年金と制度が分立し、保険料未納や事業所の違法な脱退で空洞化が止まらない。サラリーマン世帯の専業主婦など「第三号被保険者」が保険料を自分で払わなくて済む点にも批判が強いが、見直しは先送り。「今の制度では、持続性が問われる」「貧しいシングルや共稼ぎ世帯が、ややリッチな専業主婦世帯に補助金を出しているようでおかしい」などと、言葉の端々に現行制度の微修正にとどまった今回の改革への憤りが感じられた。

大沢教授が提唱したのが、スウェーデンのようにどの職業でも同じ制度に加入し、所得に比例した保険料を支払い、その保険料に応じた金額を受け取る制度への移行。ただし、女性の大部分が職業を持つスウェーデンとの国情の違いを考え、夫と妻の納めた保険料を足して夫婦で折半する「二分二乗」方式を採用し、女性の年金が少なくなり過ぎることなどを防ぐという。

自営業者の所得をどう正確に捕捉するかが問題だが、現行制度の問題点を是正する抜本改革案として、それなりに説得力があった。


ゲスト / Guest

  • 大沢真理 / Mari Osawa

    東京大学教授 / Professor, Tokyo University

研究テーマ:年金改革

研究会回数:4

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