2004年06月30日 00:00 〜 00:00
斉藤惇・産業再生機構社長

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会見リポート

企業でなく事業を再生したい

堯部 雅夫 (日本経済新聞社(日経金融新聞編集長))

景気回復が進むなか過剰債務企業の再生・最終処理は待ったなしの局面に来ている。産業再生機構は発足当初「民業圧迫になる」「案件が小粒で産業再生につながらない」といった批判を浴びたが、カネボウの支援決定で存在感が一気に高まった。支援案件は現在18件。足利銀行破たんで先行き不安が増す栃木県内の温泉旅館をまるごと再生するプランも進める。

斉藤氏は「資産を厳しく査定、過半数の出資で主導権を握りV字回復させる。3年以内に株を売却して資金を回収するが、国民負担に直結する二次ロスは絶対出さない」と決意を語る。一連の批判には「我々が目指すのは個々の事業の再生。企業が処分されても日本経済に価値がある事業を再生する。企業の延命には手を貸さない。関係する多数の銀行への債権放棄の説得などは我々にしかできない」。

機構の人員は180人。外部の専門家も組織化し激務をこなす。UFJ銀行の大口融資先への支援観測に対しては「銀行と企業が決めることだが、再生の手法は大型案件でも同じ。20~30人くらい張り付ければ対応できる」という。

日本の再生ビジネスは米国の10年遅れ。人件費削減、不採算部門の整理などリストラまではできてもコアビジネスである本業の競争力を強化できるプロの経営者は少ないのが現実だ。企業を買収したものの再生に苦戦する民間ファンドは多い。発足5年後の平成20年に再生機構は解散する。「その時、日本は素晴らしい経済・社会になっていてほしい」と斉藤氏。機構の通信簿はその時明確になる。

ゲスト / Guest

  • 斉藤惇 / Atsushi SAITO

    日本 / Japan

    産業再生機構社長 / President, Industrial Revitalization Corporation of Japan

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