2004年05月12日 00:00 〜 00:00
梶谷剛・日本弁護士連合会会長

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会見リポート

改革の基礎工事を

安岡 崇志 (日本経済新聞論説委員)

司法制度改革が「建物に例えれば、基本設計が終わった段階」に来た今、日本弁護士連合会会長に就任した。2年間の任期中は「実施設計、基礎工事と進む。どんな立派な建物でも土台をしっかりつくらないとダメとの姿勢で臨みたい」と抱負を述べた。

今回の制度改革で最もマグニチュードが大きいのは司法を担う法曹を大幅に増やす計画であり、最も国民に見えやすいのは市民が重罪刑事裁判の審理に参加する裁判員制度の新設だ。どちらも当然、弁護士の仕事を大きく変えると予想され、2万人余りの弁護士には、制度改革自体に反対する人や新しい制度を生かし育てることに消極的な考えもある。そこにどう働きかけて「強固な基礎づくり」に協力させるか。弁護士は法曹三者の中で飛び抜けて人数が多く、それぞれに理屈もたてば弁もたつ人ばかり、しかも束ねる弁護士会という組織体が、他の二者と異なり自治組織で、号令一下というわけにはいかないだけに「日弁連の力量が問われると自覚している。必要なイニシアチブを発揮しなければならない」。

日弁連の要職を歴任したが、この日は「歴代会長の中で変わり種と思っています」と切り出して、その理由を「法学部出身でない。だいぶ年をとってから弁護士になった」などと列挙した。さらに「弁護士活動はできるだけ法律用語を使わないよう心掛けてきた」。その姿勢は結構ではないか。司法を国民に身近にする、司法に国民参加を求めるという改革の実をあげる活動を期待したい。

ゲスト / Guest

  • 梶谷剛 / Kajitani Gou

    日本 / Japan

    日本弁護士連合会会長 / President, The Japan Federation of Bar Associations

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