2004年05月10日 00:00 〜 00:00
ワリド・シアム・パレスチナ駐日代表

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会見リポート

日本の政治的役割に期待

土佐 茂生 (朝日新聞外報部)

泥沼化の様相を呈しているイスラエルとパレスチナの中東和平。イスラエル軍によってパレスチナの過激派ハマスの最高指導者二人が次々と暗殺された。シャロン首相が掲げたガザ撤退を含む分離計画が与党リクードによって拒否された。これら歴史的な出来事が起きてから、パレスチナの指導者が積極的な声明を出さない中で行われた、シアム駐日代表の記者会見だった。

パレスチナが置かれている現状について「平和を目指すパートナーがいない」と話す。軍事力でかなわないイスラエルとの交渉については「(プロボクサーの)タイソンに勝ちたいならボクシングではなくチェスで戦うことだ」として、政治的・外交的な方法で解決を見いだす必要性を強調した。また「国民全体が暴力ではない解決策を選んでくれることを期待している」とも述べた。

その上で「(シャロン寄りの)アメリカは正直な仲介者ではない」と批判、日本政府に対して「中東地域で日本の信頼性は確固たるものだ」「戦争と占領を知る日本こそ政治的な役割を果たせる」として、経済的な支援だけでなく、欧州連合(EU)や中国、ロシアとともに和平交渉の再開と解決に向けて積極的な貢献を希望した。

徐々に激しくなっているハマスの報復については「ヤシン師、ランティシ氏に対する暗殺以前から、民間人への攻撃は非難されるべきものであると合意している。報復の対象は軍事的占領を行う人々に限られる」と述べるにとどまった。

ゲスト / Guest

  • ワリド・シアム / Waleed SIAM

    パレスチナ / Palestine

    パレスチナ駐日代表 / Ambassador to Japan

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