2004年05月21日 00:00 〜 00:00
松井孝典・東京大学大学院教授

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会見リポート

地球以外での生命の存在は

長沢 光男 (個人会員(朝日新聞出身))

地球という惑星が、太陽系の中で普遍的な惑星なのか特異な惑星なのか、あるいは銀河系でも普遍的な惑星なのかどうかというのが総会記念講演の主題である。結論は一時間後に示されるわけだが、そこに至る過程で、世界でもユニークな教授の研究成果が、短時間ながら存分に披露された。ふだん聞く機会の少ない話だけに、参加者はスクリーンに映し出される画面を見つめながら熱心に聞き入っていた。

生命の誕生に関しては、惑星表面に大量の水が液体の形で存在することが必要条件である。太陽系の中では、火星に生命の存在が期待されている。NASAの無人火星探査車「オポチュニティー」が撮影した火星の地層の鮮明な写真が映し出された。堆積岩が写っている。過去に、水が流れた跡である。オポチュニティーは現在、新発見の可能性の高い別の場所に向けて移動中という。結論として、地球は太陽系で普遍性もあれば特異性もある。普遍性は火成岩の存在など、特異性は、海の存在をはじめ、酸素を主成分とする大気、生命、文明などであるという。

少し意外だったのは、教授の分野に近い研究がNASAで大規模に行われているのをはじめ、世界のかなり多くの国で研究費もついて組織的に行われている。これに対して〝経済大国〟日本では松井教授らがいわば個人的にやっているだけという事実である。学界では認められているが、予算の査定では、いつも切られてしまうという。なんとも恥ずかしい話だと思うのは筆者だけだろうか。

ゲスト / Guest

  • 松井孝典 / Matsui Takanori

    日本 / Japan

    東京大学大学院教授 / Professor University of Tokyo

研究テーマ:総会記念講演

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