2004年05月28日 00:00 〜 00:00
スティーブン・ゴマソール・駐日イギリス大使

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会見リポート

日本皇室へも温かい視線

黒岩 徹 (個人会員(毎日新聞出身))

さすが日本に外交官として14年滞在しただけのことはある。外交官生活を終えて帰国するお別れ会見が、決して過去の感傷にひたるものではなく、日本の30年間を見つめ続けた結果として、洞察力に富む指摘に溢れていたのだ。

「私は日本滞在14年間に国民年金を払ってきませんでした」とイギリス人らしいユーモアで会見が始まった。70年代から日本に外交官として滞在、当時はスモッグの発生、大気汚染で日本が悩んでいたし、「ピーナツの匂いが強かった(ロッキード事件のこと)」といった日本の負の面がでていたことを指摘した。80年代は酒税の引き下げ、東証会員権の開放などを求めて国会議員を説得して回ったように日英関係には難題があったが、現在は差別的措置に関する不満がない、として日英関係が繁栄期にあることを指し示した。その良好な関係も大使の尽力が大きかった。日本駐在外交官の中でも飛び抜けてうまい日本語を駆使して気軽に講演に、記念植樹に出かける大使の行動力がどれほど日本人に英国に対する好印象をあたえたことか。

「私は日本を愛している」といってはばからない大使は、皇室にも温かい目を向けている。最近の皇太子の衝撃的発言について「皇室を箱入り娘的にするのではなく、もっと公に生かす道を考えるべきである。と同時にプライベートなことではもっと自由な生活を考えてしかるべき」と宮内庁への批判をにじませた。日本と英王室をしっかり見つめていなければできない発言だった。

ゲスト / Guest

  • スティーブン・ゴマソール / STEPHEN GOMERSALL

    イギリス / United Kingdom

    駐日イギリス大使 / Ambassador to Japan

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