2004年04月19日 00:00 〜 00:00
枝野幸男・民主党政調会長「年金改革」3

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会見リポート

不明確な点も残る民主党案

石崎  浩 (読売新聞社会保障部)

二〇〇四年の公的年金改革をめぐる衆院での審議が大詰めを迎える中、民主党の枝野政調会長は「数字のつじつま合わせに過ぎない政府案では、年金制度はもたない」として、民主党が国会に提出した対案への支持を訴えた。

民主党案の特徴は、自営業者は国民年金、会社員は厚生年金、公務員は共済年金というように分立している状態を改め、あらゆる職業の人が同じ年金制度に加入する「一元化」を打ち出したことだ。枝野氏は「現行制度では、制度間の不公平感が拡大しており、特に国民年金には保険料の未納・未加入で大きな穴があいている。働き方に中立的な制度にするしかない」と強調した。

さらに、政府案は厚生年金保険料率を現行の一三・五八%から最終的には一八・三%に引き上げるとしているが、民主党案は保険料を現行のまま据え置く一方、年金財源として〇七年度に税率三%の年金目的消費税を創設するとした。

野党が年金改革の具体案を示して政府案に対抗し、有権者の反発を買いかねない消費税増税にも踏み込んだ発言をすることは、過去には見られなかった状況といえる。この姿勢は評価したい。

問題は、民主党案では給付の最低保障水準をどの程度に設定するか、一元化に不可欠な自営業者の所得捕捉がどこまで可能なのかといった点があいまいなことだ。会場からの質問もこの点に集中したが、枝野氏の回答は明確さを欠いた。国会審議が深まらない責任が、政府・与党だけでなく民主党にもあることを実感した

ゲスト / Guest

  • 枝野幸男 / Yukio Edano

    日本 / Japan

    民主党政調会長 / Chairman, Deliberative Council on the Constitution

研究テーマ:年金改革

研究会回数:3

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