2004年02月13日 00:00 〜 00:00
佐々木毅・東京大学総長

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会見リポート

難問山積の高等教育

山岸 駿介 (個人会員(朝日新聞出身))

肩書きは東大総長だったが、国立大学協会の会長であり、著名な政治学者である。出席者の中には、大学行政官としての発言より、揺れ動く政治の見方に関心を寄せていた人がかなりいたようだ。質問も小泉首相への評価などいくつも出され、「政治のメカニズムの動かし方は評価するが、政策については辛口にならざるを得ない」などと答えていた。肝心の東大が抱える問題についての説明は、各方面に及んだが、どれも解決の難しいことばかりで、エリート教育が深刻な状況にあることを語っていた。

国立大学法人化をめぐる問題では、新聞の報道にシビアな注文をつけるのではないかと予想したが、何も触れなかった。新聞は日本の将来を左右する国立大学の法人化に関心がなく、大学の記事といえば、入学試験のことしか取り上げないと厳しく批判したことがあるだけに気になった。

学力低下の問題は、東大にとっても深刻だと認め、重大なことは、学部での教育が、とくに文系では空洞化していると、理系の教官から強く批判されていると紹介し、どうすればいいのか具体的な方策が見当たらないと率直に認めていた。「読んで、考えて、書くこと」が、学力を伸ばす基本だが、最近は新聞も本も読む習慣のない学生が増え、それをどうしたらいいのか……と途方に暮れているような発言もあった。

大学に入学するまでの教育が、当然、問題になるわけだが、それには学習指導要領による規制が、強いことを批判、どこで何を勉強するかについてもっと自由にしないといけない、なぜすべての学校を規制するのかと厳しかった。

ゲスト / Guest

  • 佐々木毅 / Takeshi Sasaki

    東京大学総長 / President, Tokyo University

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