2004年02月24日 00:00 〜 00:00
コフィー・アナン・国連事務総長

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会見リポート

治安回復後に現地本部

山岡 邦彦 (読売新聞論説委員)

国連事務総長として初めての国会演説で、自衛隊派遣を含む日本のイラク復興支援を高く評価した直後。また、国連安全保障理事会に戦後イラクの民主化プロセスに関する事務総長勧告を提出した当日、というタイミングでの会見となった。国際的な注目度も高く、外国プレスからも活発に質問が飛び出した。

「戦争賛成派からは、国連と安保理が戦争を支持しなかったとして厳しく指弾され、反対派からは国連が戦争を阻止できなかったとして失望と怒りをかった。だが、人々は国連の役割には限界があるのだと次第に理解するようになった」。

昨年のイラク戦争で、板挟みにあったときの苦悩を率直に語った。

重大な国際の平和と安全に関する問題であったにもかかわらず、国連はイラクで一致した行動をとることに失敗した。米英軍の占領下のバグダッドでは昨年8月19日、国連現地本部がテロ攻撃の標的とされ、デメロ代表ら二十二人の人命が失われた。2001年のノーベル平和賞受賞者にとって、イラク問題への対処は大きなしこりになっているに違いない。

だが、イラクの復興支援に国連は積極的に取り組むと強調する口調には、再び出番がめぐってきた、という確信がにじんでいた。

最大の懸案は治安。「治安が改善されなければ、昨年8月の経験を再び繰り返す危険を冒すことになる」と述べ、国連現地本部の再開は治安回復後になることを明らかにした。6月末のイラク主権回復後、治安維持のため多国籍軍の駐留を安保理が決議する可能性にも触れた。イラクは国連平和維持活動(PKO)では対応できない厳しい現実の中にあるとの判断だ。

ゲスト / Guest

  • コフィー・アナン / Kofi Atta Anna

    国連事務総長 / Secretary-General of the United Nations

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