会見リポート
2004年02月09日
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渡辺正太郎・経済同友会副代表幹事/草野忠義・連合事務局長「年金改革」1
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会見リポート
税方式で呉越同舟の労使
梶本 章 (朝日新聞論説委員)
渡辺正太郎氏=改革のシナリオは厚生労働省。演出は自民、公明両党。メディアは競馬新聞よろしく予想・解説を書いて、国民ははずれ馬券をつかまされた。
草野忠義氏=政府案の評価は渡辺さんと全く同じ。抜本改革を先送りし、従来のスキームをそのまま維持して、財政のつじつま合わせをしているだけだ。
年金の保険料は労使が折半して支払う。企業の収益、組合員の給与を考えれば、保険料は少ない方がいいに決まっている。水と油を演じる両者が手を組むのは、この点で利害が一致するからなのか。
ただ渡辺氏も企業の負担逃れのために税方式を主張しているととられては心外と思ったのだろう。
経済同友会の年金消費目的税で賄う新基礎年金で一人7万円を補償する二階部分は賦課方式で運営する厚生年金から、積み立て方式の私的年金に切り替える、との構想を説明した後、「企業の負担がなくなった分は401Kなど新しい私的年金に入れる。猫ばばはしない」と声を強めた。
一方、連合は今まで日本の企業の社会保障負担は、欧州に比べてかなり低いことを指摘。「社会保障ダンピング」と財界を批判してきた。それが一転、労使協調ではまずいと草野氏も感じたようだ。
連合の一人7万円の基礎年金を年金目的間接税や、これまでの企業負担分を徴収する社会保障税で充てる二階は賦課方式の報酬比例年金とし、労使折半による約15%の保険料で賄う、との構想の説明に先立ち、「入り口は渡辺さんと同じだが、その後は天と地ほど違う」と強調した。
一言でいえば、大きい政府の連合と、小さい政府の同友会ということになるのだろう。
確かに年金を支える保険料を払う側の意向は重い。だが、それにしても社会保障制度審議会が30年以上も前に提案したこの構想がいまだに実現しないのはなぜか。財界トップにもホームレスにも七万円の年金を補償する仕組みが「依存の文化」を助長しないのか。そもそも財政的に可能なのか。
お二人にはこうした問題もよく聞いてみたかった。
ゲスト / Guest
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渡辺正太郎 / Shotaro Watanabe
経済同友会副代表幹事
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草野忠義 / Tadayoshi Kusano
連合事務局長
研究テーマ:年金改革
研究会回数:1