2004年01月16日 00:00 〜 00:00
谷垣禎一・財務相

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会見リポート

「ポスト小泉」に意欲にじます

朽木 直文 (中日新聞東京本社経済部長)

「安全運転から抜けだそうとしているようですよ」というのが現場記者の最近の谷垣大臣評だ。

58歳に見えない若々しさ、弁護士出身の政策通と「優等生」イメージが強く、その分、「塩爺」と呼ばれた塩川前大臣と比べ政治的な面白みに欠ける、との辛口評への反発もあるのだろう。

昼食会でのスピーチは、こんなイメージチェンジへの期待をやや肩すかしして、2004年度税制・予算編成、年金財政、自由貿易協定(FTA)に対する考えをそれこそ弁舌さわやかに説明した。「財政は危機的状況。世界最悪の水準」と力を込めたが、景気回復の芽を摘みかねない目下の円高ドル安や年金財源と絡んだ消費税率引き上げには触れなかった。

会場からの質問は、円高ドル安問題に集中。介入効果や米政府の姿勢をただした。谷垣氏は「アメリカに双子の赤字の是正を求めたい」と明言したが、介入効果などには「為替はいいにくい」と慎重な答えが口をつき、無難な印象をぬぐうに至らなかった。

会場を沸かせたのは、「ポスト小泉への決意は」の質問に「いつまでも青年ではいられない。担うべき責任は担いたい」とトップリーダーへの意欲をはっきりにじませたことだ。自覚は十分だ。「役所のスタッフと相談しながらが私のスタイル」と答えた谷垣氏だが、次代のトップリーダーとして、もっと率直に自らの政治的メッセージを国民に発していくことも期待したい。

ゲスト / Guest

  • 谷垣禎一 / Sadakazu Tanigaki

    日本 / Japan

    財務相 / Minister of Finance

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