2004年01月26日 00:00 〜 00:00
山内一也・東京大学名誉教授「人畜共通感染症」

会見メモ

詳録はリンク先pdf13ページから


会見リポート

ヒトウイルスはすべて動物由来

中村 靖彦 (個人会員(NHK出身))

アメリカで最初のBSE発生、さらに鳥インフルエンザの日本侵入など、人と動物の共通感染症が世間に不安を与えている。この時期に開催した、ウイルス学者の山内一也さんの研究会は、多くの会員たちの関心を集めた。

人と動物の共通感染症は、犬からの狂犬病、野鳥からのウエストナイル熱、動物名は不明だがエボラ出血熱、SARSなど種類が多い。ところが、山内さんによればヒトが持っているすべてのウイルスは動物由来なのだそうだ。人類は、動物のなかで最も遅く出現したほ乳類で、ネズミとかウシ、ブタははるか昔から地球上で生きていた。これらの動物が持っていたウイルスが、人類が農耕生活を始めるにつれてヒトに感染した。そしてなかには、ヒトのウイルスになってしまったものもある、という。

最近になって、エマージング(新興・再興)ウイルスが登場して人間の生命に脅威を与えるようになった。ニバウイルス病は、地球の森林破壊が、このウイルスの宿主であるコウモリを人間に近づけた。鳥インフルエンザの大発生は大規模化した養鶏がその背景にある。つまり発生の原因は実は人類の方にあることを、山内さんは豊富な資料を使って説明した。

このような状況にある以上、人類は、国際的にも協調しながら対策を講じていく必要がある、と山内さんは指摘する。

質疑応答のなかでは、アメリカのBSE対策の評価や鳥インフルエンザ拡大の可能性など、目下の焦点になっている問題に活発な質問が続いた。


ゲスト / Guest

  • 山内一也 / Kazuya Yamauchi

    東京大学名誉教授 / Professor emeritus, Tokyo University

研究テーマ:人畜共通感染症

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