2003年12月05日 00:00 〜 00:00
ナツァギーン・バガバンディ・モンゴル大統領

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会見リポート

相撲談議でやっと笑み

藤原 秀人 (朝日新聞論説委員)

モンゴルといえば、朝青龍を筆頭にした大相撲力士を思い浮かべる。だが、南北朝鮮とパイプを保つ一方で、米英による対イラク軍事行動を支持し国軍を派遣しているモンゴル元首への質問は極めて今日的だった。モンゴル首相が十一月に訪朝し、日本人拉致問題解決へ前向きに対応するよう北朝鮮側に求めたとされるが、詳細は明らかでない。

大統領は「地域の平和や安全保障問題で役割を果たすのに国の大小は関係ない」と語り、問題解決に向けての意欲を表明した。しかし日朝関係については、核・ミサイルと拉致を包括的に解決するという日本の立場を「支持する」と述べるにとどまった。北朝鮮との友好関係を考慮したのだろう。

一方、日本のイラク復興支援についての言及は意味深長だった。「米国は韓国が苦しいときに助けてくれた。今度は私たちの番だ。時機を逸することはできない」という韓国民の話を紹介したうえで「これは韓国の人であって日本の人ではない」と言った。米支持を強調した後での発言だけに、自衛隊派遣を後押ししたかったのか。

微妙な発言の後で、初めて笑みを浮かべたのは、話題が相撲に移ったときだった。「相撲を通じモンゴル人の対日理解が深まり、日本人もモンゴルをよく知るようになった」と述べ、「モンゴルの子どもたちは『突っ張り』などの決まり手を日本語で知っている」 とも語ったが、親日家としては相撲にもっと触れてもらいたかったようだ。

ゲスト / Guest

  • ナツァギーン・バガバンディ / Natsagiin BAGABANDI

    モンゴル / Mongolia

    大統領 / President

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