2003年12月01日 00:00 〜 00:00
ズービン・メータ・指揮者

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会見リポート

今夜の演奏を追悼に

原口 啓太 (産経新聞「モーストリー・クラシック」編集部)

雨模様の中、満席の参加者の拍手で迎えられたイスラエル・フィルを率いて来日公演中の指揮者ズービン・メータは、折悪しくも前日に起こったティクリートでの日本人外交官の殺害に哀悼の意を表し、当日夜の東京文化会館でのマーラーの交響曲第六番「悲劇的」の演奏を二人に捧げると語った。

まず「音楽が政治的問題を解決できるか」という問いに対して「それは不可能」と明言しながらも、パレスチナ人も多いキブツで行ったコンサートにふれて、「アラブ側でもイスラエル側でも積極的に演奏していきたい、恐れることはない」ときっぱり。ヨルダンのフセイン政権に招かれてアンマンでのコンサートが実現寸前までいったというエピソードも明かした。さらに「ワーグナーがあなたたちのアンコールピース以上のプログラムになるのはいつだろう」という質問に対しても、「それを不愉快に感じる人たちがいる以上は無理にやるべきではない。今はまだその時ではないがいつか空が晴れる日は来る」と確信に満ちた様子で語り「イスラエル・フィルの楽団員はいつ演奏できるかと期待している状態」と付け加えた。

そのほか、音楽好きの元記者たちから、イスラエル・フィルの特徴や音楽の解釈の問題についてなど、鋭い質問が投げかけられた。最後に記者クラブから記念のネクタイを贈呈されたメータ氏は「多くの国でジャーナリストの集まりに招かれますが、これほどエレガントでよくオーガナイズされたコンフェレンスは初めてです」と締めくくった。

ゲスト / Guest

  • ズービン・メータ / Zubin Mehta

    インド / India

    指揮者 / Conductor

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