2003年11月17日 00:00 〜 00:00
クロード・マンディル・IEA事務局長

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会見リポート

供給確保にさらなる投資を

井川陽次郎 (読売新聞論説委員)

「目覚めよ、各国政府」。マンディル事務局長が発したメッセージは、なんとも明解だった。

来日直前に、IEAからは、2003年版の「世界エネルギー投資見通し」が出されている。

世界のエネルギー供給を確保するのに必要な投資額を試算した報告書だ。それによると、2030年までに、日本の国内総生産(GDP)の3・5にあたる、約16兆ドルがいるという。

問題は、だれがその投資をするかだ。電力自由化をはじめ、エネルギー市場の自由化が国際的に加速する中、資金面で各国政府が丸抱えすることはあり得ない。

国内外の民間資金をどう確保するか。各国政府が規制や税制面で工夫を凝らし、資金を呼び込まなくてはならない。「目覚めよ」の言葉に、そんな期待がこもる。

エネルギーをめぐっては今年、国内外で注目を浴びる出来事が相次いだ。海外では、米ニューヨークを巻き込む北米大停電、イタリアの停電、中国の電力不足、日本では、東京電力の原子力発電所停止による夏の電力危機があった。

イラク問題でも、一刻も早い治安回復とともに、原油供給の拡大に期待がかかっている。

停電や電力危機では、各国政府の規制のあり方や、社会基盤の整備に向けた政策誘導の欠陥が露呈した。イラクの原油問題は、エネルギー資源の確保が容易でないことを改めて示した。

政府の責任は一層重い。「これまでの30年と今後30年はまったく違う」。そんなマンディル事務局長の言葉が印象に残った。

ゲスト / Guest

  • クロード・マンディル / Claude MANDIL

    IEA / IEA

    事務局長 / Executive Director

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