2003年10月16日 00:00 〜 00:00
ヴィセンテ・フォックス・ケサーダ・メキシコ大統領

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会見リポート

〝オレンジジュース障壁〟に無念

中井 良則 (毎日新聞外信部長)

本来なら日本との自由貿易協定(FTA)締結を発表し、関係強化を華々しく打ち上げるための晴れがましい来日だった。だが、徹夜で土壇場までもつれこんだ交渉は物別れに終わった。

記者会見のためクラブを訪れた午後3時すぎは、最後の閣僚級協議の真っ最中。どこまで進展しているか大統領本人もわかっていないはずだ。それでも「違いはこんなに小さい(ペケーニョ)」と右手の親指と人差し指を示し「ペケーニョ」と強調した。「将来にとって重要な歴史的な協定を話し合っている。両政府とも同じ立場だ」と力説した。理念では一致しても、いざ現実となると国益の衝突で合意できなかった。

会見から9時間後に予定されていた国連安保理(メキシコは非常任理事国)のイラク新決議についても「国連がイラクに直接、参画することが不可欠だ」と米国に批判的な立場を説明しながら「賛成か反対かは投票時に決める」。結局、賛成票だった。

コカコーラ・メキシコ社社長を務め、2000年の大統領選挙で制度的革命党(PRI)の長期独裁政権を倒した。メキシコ現代史を書き換えた人物だ。

FTA交渉で難航した二品目を聞かれ「豚肉をオレンジジュースで料理するとうまいんだ」とチステ(冗談)で答える余裕があったのだが。「こんなはずではなかった」と無念の思いで帰国したのは残念だった。

ゲスト / Guest

  • ヴィセンテ・フォックス・ケサーダ / Vincente FOX Quesada

    メキシコ / Mexico

    大統領 / President

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