会見リポート
2003年09月17日
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山内和也・東京文化財研究所主任研究官「バーミャン遺跡の現状」
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会見リポート
〝文化財復興〟最前線
毛利和雄 (日本放送協会解説主幹)
「嘆きの丘」として知られる遺跡は、ソ連侵攻時代に〝地雷の丘〟に姿を変え、撤去作業は爆破せざるをえないため、遺跡の破壊作業になること。ハザラ人が多い現地で、作業員集めにタジク人に声をかけ抗議されたこと。石窟は現地の人々が住んでいたので、NGOがキャンプをつくり、移住してもらったこと等々。日本の発掘現場では想像のつかないことばかりだ。
日本チームが取り組んでいるのは石窟内の壁画の保存修復で、発掘調査ではない。盗掘などではがれ落ちた壁画の破片を床面から拾い集める。将来もとの壁に戻すために、落ちていた場所の記録も必要だ。細かい壁画片も取りこぼしのないよう、こなごなになった壁土にいたるまではいて集める。それが遺跡の清掃だが、一般の人にはその必要性さえ理解しがたいことだろう。
爆破された大仏を復元できるのか? 玄奘の記録にある巨大な涅槃仏が発見されるかどうかに関心は集中した。専門家の一部も例外ではなく、現に涅槃仏狙いの発掘に取りかかっているフランスの研究者がいて、各国から批判が出ているという。一発狙いではなく、あくまでアフガンの戦後復興の一環として、現地の人々も含め遺跡の復興が重要だと強調した。日本の国際貢献は、息の長い取り組みが必要だ。
ゲスト / Guest
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山内和也 / Kazuya Yamauchi
日本 / Japan
東京文化財研究所主任研究官 / National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo
研究テーマ:バーミャン遺跡の現状